Blog

2020/07/19 16:18

前回ご紹介した眼鏡の芯貼りの続編です。

※芯貼りとは眼鏡のテンプル(つるの部分)を作る作業になります。

順を追って説明すると、工程としては
①短冊状に断ち切って
②半分に割って
③溝を掘って
④芯金を入れて
⑤プレスで圧着させて
⑥乾燥に最低2週間

という流れになります。
前回は①を紹介しましたので、今回は②の半分に割る作業の紹介です。

まず、①で裁断した生地を電熱プレス機で温めます。


板ガム程の柔らかさになったら、治具付き刃付きエキセンプレスで割っていきます。
柔らかくしたプラスチックと言えど、刃物で真っ二つに割るので
刃物の厚みだけ左右に生地が離れます。
完全固定の治具であれば、その生地ズレが片方に寄ってしまうので、綺麗に割れません。
この治具はバネが仕込まれていて、割る時にバネの力でズレを逃がしてくれます。

詳しくは動画をご覧ください。



動画をよく見てもらうと分かりますが、生地が左右に逃げていて
右に逃げる生地は、右側のバネ治具で吸収されて
左に逃げる生地は、手で押さえている当て木で逃がしています。


刃の部分の拡大です。
材質は、刀と同じ素材、玉鋼(たまはがね)を使用。のたれ刃文が綺麗です。


この様に、程良く温めて、安定したスピードで刃を下す事で、半分に割る事ができます。

以上が ②半分に割る 工程の紹介でした。



眼鏡のテンプルを作るには様々な機械や工具を駆使して作っていきます。
日本国内では、大量生産形のシューティングという手法で作られたものが殆どで
この芯貼りが出来る業者も廃業が続き、知る限り2〜3社しか残ってなく
眼鏡店レベルでこの仕事が出来る所は私の知る限りありません。

時代と共に、中国などで大量生産されたものが溢れる中、
私たちは日本人の手によって作られたハンドメイドにこだわります。
芯貼りも大変な作業ですが、オートクチュールと同じ様に
一人のお客様のご要望に、私たちが直接お答え出来る技術の一つとして、工房で一品逸品心を込めて作っています。

仲西眼鏡のコレクションは伝統工芸技術を駆使し280工程を経て作られています。
少しでも思いが届けられる様、今後も製造工程を紹介していきたいと思います。